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執筆者の写真大西悠貴

偽名



「空という言葉なしに空を見ることはできない」 私が好きな詩人・谷川俊太郎のことばだ。 私たち人間はすべてのモノに名前をつける。 「空」もまた、人間によって名付けられたモノであり 空は空でしかないのだ。空はそれ以外の名をもたない。 しかし、対象が人となると多くの名前が存在してしまう。

名前を偽ることは偽名と呼ばれる。 日本では犯罪など不当な行為に際し名前を偽ることを指し、 肯定的なニュアンスはあまりなく、否定的なイメージがつきまとう。 一方芸能人の多くは本名ではないいわゆる芸名を使っており、 言ってみれば芸名も偽名であるにもかかわらず、否定的なイメージはない。 これは、名前に「信頼関係」が大きく関わっているからだと思う。    人と接するとき、正直名前など何だっていい。 例えばAという名前であれば、「この人はAだ」という認識した後は 会話などのやりとりで名前情報が介入することはなく、何の問題もない。 しかし、もしAが偽名であることを知ってしまった場合は その後のやりとりはおそらく成り立たない。信頼度が急激に下がるからだ。 つまり、名前自体にそこまで意味はない。 お互いの名前を共有しあった後に生まれる信頼にこそ意味があるのだ。

ちなみに芸名に関しては「本名ではない」と初めからわかっている という別種の信頼が生まれている。 だからこそ、偽名であっても信頼が崩れることはない。

信頼は人間が生きていく上で欠かせないもの。 偽名を使うときは、使う前によく考えることをおすすめする。

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