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江島綺有

自虐のふりして自愛ですよね?



「うちらほんっと安上がりだな!」 大学の食堂。隣の席は女子大生が2人でトランプ。 トランプ?しかも2人で?と思っている矢先。 片方から冒頭のセリフが飛び出た。 トランプで盛り上がれる自分たちに対しての「安い」

…待てよ、これ聞いたことがある、昨日もだ。 友人が白い馬を見て 「白いのはやっぱ綺麗だね!」と言うから 「白馬の王子さま、みたいな?」と返すと 「そう。キラキラの王道大好きなんだよねー。 私安い女だなー(笑)」

共通するのは、自虐的な「安い」というワード、 そして相反するような幸せそう、楽しそうな顔。 彼女たちはなぜわざわざ安いと言うのか。

ひとつは相手からの攻撃に対する防御。 人に言われるくらいなら、先に自分で言っておこう、 別に自覚がないわけではないのよ、と言う予防線。

もうひとつはその逆である。 幸せ!最高!めっちゃ楽しい!…というと アピールがあからさまで相手や周囲に攻撃的かもしれない。 謙遜するような素振りでの予防線。

しかし結果として、複数人が言葉の対象の場合 「私たちはこんな単純なことでも楽しめるね」 といった具合に連帯感を生むこともある。

自虐的な言葉の裏には 故意ではなくとも自愛が生まれていたのだ。 本人たちは知ってか知らずか使ってしまう 不思議な力のある言葉「安い」。 あなたも既に使っていまいか。

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